少し前に巷でこんな噂がありました。
【トリートメントは髪を傷める】
いやいや髪を補修する成分をつけて傷ませるってそんなわけないじゃん(笑
と美容師はみな思うわけなんですが、【火の無いところに煙は立たない】ということで調べました。
実はこれ、【半分正しくもあり半分間違いでもある可能性があります。】
少々曖昧な答えになってしまうのですが、ワケがあります。
どういうことか。ぜひ最後まで読んでみてください。
通常のトリートメントが髪に良くないと思われる理由
トリートメントが髪を傷めるという主張は、【カラーやパーマ液の残留成分が髪の内部に閉じ込められダメージを促進する】ということなんですね。
実際にアルカリ剤や過酸化水素、還元剤(髪の毛の結合を切る成分)は毛髪内部に深く浸透し、残留します。
これを何の処理もせずトリートメントで膜を張り蓋をしてしまえば、余計抜けなくなってしまうということ。
抜けない薬剤成分は少しずつ髪にダメージを与え、トリートメントが抜けた頃にはよりカサカサでまとまりづらい髪の毛になってしまってるわけです。
しかし、トリートメントといっても役割がたくさんあり効果は様々です。
内部補修成分、ダメージ軽減成分、薬剤除去成分、被膜成分、疎水化成分。
ざっと大まかに分けてもこのくらいあり、さらにいくつも枝分かれするんですが、これらを総称してトリートメントと呼んでるわけなんですね。
これがもし、手触りや艶重視の被膜系トリートメントだけなら残留成分を閉じ込め【トリートメントが髪を傷める】というのは正しいかもしれません。
しかしトリートメントの膜があるからといって、内部の成分が抜けなくなるほどの強力な被膜がつくれるとは思いません。
ですから個人的にはトリートメントが髪を傷めるという情報は少々懐疑的な立場です。
しかしどちらにしても、アルカリや過酸化水素、還元剤を除去or不活性化させるために適正なシャンプーとトリートメントを行なっていれば問題ないわけなんです。
この「適正な」ってところも重要ではありますが、、、
残留する成分を落とすためにはケミカルを勉強する必要があります。
質の高いサロン様や勉強熱心な美容師さんはこのあたりはしっかりやってるとおもいますが。
逆に言えばそれ以外は怪しいとも言えます。
残留した成分は毛髪にじわじわとダメージを負わせてる可能性がありますから無視できません。
サロンのシャンプーやトリートメントで全てを完全に除去というわけには残念ながらならないので、お家でのホームケアも重要になってきます。
そしてもう一つ、髪を傷めるトリートメントが存在します。
もう一つの髪を傷める酸熱トリートメント(髪質改善トリートメント)
美容業界で現在流行っているのが酸熱トリートメントといった施術方法です。
酸熱トリートメントについて簡単に説明します。
酸熱トリートメントとは名前の通り、〇〇酸という成分を髪に使用し、180度以上のストレートアイロンで熱を通すことで、酸の特性である【結晶化や架橋、引き締め効果】で髪質を改善する目的のトリートメントです。
酸といってもそれぞれに特性があるんですが、数ある酸のうち髪質改善トリートメントとして利用される多くの酸は【グリオキシル酸】と【レブリン酸】に分かれます。
で、実はこの【グリオキシル酸】での事故がけっこう多い。。。
phがかなり強い酸でして、その分効果も他の酸より高めなんですが、強いアルカリ同様強い酸も髪の毛を傷めすぎてしまう要因になるんですね。
そして200度以上の高熱アイロン処理をして酸によるトリートメント効果が出る反面、高い熱でダメージもしてしまいます。
何度か他店様にてビリビリになってしまったお客様を診てます。
髪質改善を期待してトリートメントをしたら髪の毛がボロボロになっちゃった。という笑えない現状が今も起きてしまってるわけです。
美容室でこの髪質改善トリートメントを3回繰り返せばより良くなりますよ。って聞いたことありませんか?
そのタイプの髪質改善トリートメントは恐らくこれです。
メーカーや講師を生業としてる人らがこぞって流行らせようとして、実際一気に流行りましたね。そして事故多発。
自分も触ってきた経験があるのでメリットとデメリットをあげます。
メリット
- 艶がでる。
- 若干の癖緩和。ギプスをはめてるイメージ。
- 通常のトリートメントより持ちは良い。
- レブリン酸なら強酸による【過収斂】を起こす可能性は低い(トリートメント効果は弱まる)。
過収斂を起こすと髪の毛がビリビリに縮れます。
デメリット
- 癖が治るわけではない。
- 髪の毛が硬くなりガサガサとした質感になりやすい。
- 180〜220度の高温でのアイロン作業により熱ダメージがある。
- 過収斂事故の危険性(ビリビリ毛になる)
- 効果の分かりやすい髪質を選ぶ
- 基本的に金額設定は高め。また3回コースが多い。
このトリートメントは髪質を選ぶのでストライクゾーンがとても狭いので誰にでもお勧めできるものではありません。(細毛・軟毛・癖弱・ダメージ毛)
ぶっちゃけていってしまえば、この酸熱トリートメントをやるぐらいなら何もやらない方がマシかもしれません。
それだけ毛髪の負担が大きいということです。
phをあっちこっちさせるのって髪の毛への負担が大きいんですよ。
酸なんてそもそも昔からあるもので、髪質改善として矯正の変わりになるような画期的な成分ではないんですね。
クエン酸もグリオキシル酸もどの酸も似たような物で、結晶化やPHが低いことによる毛髪の硬化収斂により髪にハリコシが生まれ艶が出るといった単純なことです。
トリートメントの上位互換ではあるんですが、傷ませながらケアをするといったデメリットも多い問題が無視できません。
美容室側がメーカーや講師に踊らされてるとこもあると思います。
髪質改善に必要なのは酸がメインじゃないってことです。※もちろんメリットもあるのでポイントで使用してます。
酸熱処理は乾かすとさらさら感と艶がでますが、質感が軋むんで濡れている状態の時が特にギシギシするんですよね。
髪質改善トリートメントといってもサロンによって種類は様々なんですが、酸熱トリートメントっていうワードであれば注意が必要かと思います。
実際に綺麗になってないことや失敗してる状況を見てきているので、、、
現状はこんな感じです。
技術は日々進歩していきますので、もしかしたらまた陽の目を浴びることがあるかもしれません。
最後に
お客様が髪質を良くするために頑張っていても、サロン側が台無しにしてしまってることはよくあります。
通いやすい価格帯のサロン様はやはりそれなりのことしかできませんし、高級そうなサロンだからといってケミカルに詳しいサロン様なのか美容師さんなのかは分かりません。
インスタでフォロワーが多いから大丈夫という訳でも無いと思います。
マーケティングがうまいだけの可能性は否めません。
まずはしっかりとした説明があるか、数回通っていただいて結果が出てきてそれに納得できるかどうかが大事ですね。
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