酸性ストレート(酸性縮毛矯正)が流行ってから少し経ちますが、この施術方法の台頭により矯正しても癖が伸びてなかったりボリュームが収まらなかったりと、失敗になるケースが多く見受けられます。
適正な髪質だったり傷み度合いだったりとあるので、果たしてその施術方法が自分に合っているのか。
お客様も施術メニューのことについて、知っておくだけで失敗を避けられるかもしれないのでぜひ最後まで読んでみてください。
アルカリ縮毛矯正と酸性ストレート(酸性縮毛矯正)は髪の毛のダメージで使い分ける
アルカリは傷む要素の1つですが必要悪です。
悪はちょっと言い過ぎかもしれませんが、、、
健康な太い髪質や黒〜茶色の状態は【アルカリで軟化膨潤させる】ことで薬剤の効きというのが良くなります。
酸性では薬剤が浸透しづらく、長い時間をかけなければしっかり伸びません。
しかし傷んでいる髪の毛はアルカリが少なくとも薬剤が浸透しやすく、ブリーチ毛など極端なケースでは無い方が良い場合があります。
要するにノンアルカリタイプの酸性縮毛矯正はハイダメージ毛に適した施術となります。
そしてもう一つの特徴として、癖を伸ばす力が弱いため少し湿ってる状態の髪に高温のアイロン作業で強引に伸ばすウェットアイロンという技術がありますが、これがまた大きく傷む原因でもあるわけですね。
髪というのは乾くほどに硬く強く、濡れて水分量が多いほど脆いです。
濡れてる状態からの高温のアイロンはとてつもない大ダメージとなります。
ですから、何でもかんでも酸性ストレートというのは薬剤や矯正の仕組みを理解してない証拠になるんです。
ではハイダメージ毛になら理にかなってるように見えるその施術を、それでも何故お勧めしないのか。
また違う理由があります。
結論からいいますと、再結合が甘くかなりダメージを負う可能性が高いからです。
分かりやすく解説していきます。
原因は2つ。【還元剤の種類】と【酸化エラー】
還元剤とは髪の毛の結合を切る成分。
医療で例えるならメスで皮膚や臓器を切る行為です。
酸性ストレートで使う還元剤の種類は主に2種類。
エステル(親油性)還元剤のGMTとスピエラです。
これらを使用した美容室の施術メニューとしてよくあるのが、酸性ストレート・スピエラ矯正・髪質改善なんちゃらなどなど。
正直に言いますと数年前は僕もおすすめしてた時期が数年前ぐらいにありました。
しかし、これらのメニューは今ではオススメしてません。
推してる美容室があれば避けて欲しいと思う程です。
この薬剤は通常のアルカリ矯正で使う薬剤とは少し違った特徴を持ちます。
エステル還元剤は毛髪内部の水が浸透しにくい部分(疎水部分)に浸透するので、流そうと水洗してもなかなか落ちません。かなり残留します。
またエステル還元剤(特にスピエラ)は毛髪の中心部まで入り込みすぎてしまい結合を切ります。
要するに、最深部まで髪の結合を切ってしまうので強度が落ちる(そこまでメスを入れなくても癖は伸びます)ということと、後述する酸化エラーという問題が大きく関わってくるわけです。
酸化エラーは時間経過でどんどん傷みが強くなっていく。
還元剤で切った癖の結合は、繋げ直さないとダメージに直結します。メスを入れたのに縫合しないようなものです。
切った結合は酸化することで繋げ直すことが可能でして、そこで使うのが酸化剤である過酸化水素です。
ですがこの過酸化水素というのはアルカリに触れることで酸化力や酸化スピードがでます。
つまりアルカリを使用していない酸性ストレートではなかなか酸化しづらくなってるわけです。
さらに、アルカリによる毛髪の軟化膨潤がないので内側まで過酸化水素が行き届かない。疎水部分にはまるで浸透しません。
または時間がかかるということで、酸性領域での確実な酸化方法というのはなんと30分〜50分以上かかるわけです。
過酸化水素では疏水部に対して全然効果を発揮できないのでブロム酸という酸化剤を使う必要があります。
酸性ストレートにおいて酸化剤を正しい選定でそれだけ長時間しっかり置いてる美容室があるのでしょうか。
現状はとてもそうは思いません。
このことを知らない美容室では一般的な縮毛矯正と同じように過酸化水素を通常の5分~10分放置で流してしまってる状態が殆どだとおもいます。
これではまったく再結合できてなく、その日はよくとも時間経過で傷んでしまうということです。
結合が切れたままの状態で日常生活を過ごすことになるわけで、傷んでいくのは当然ということですね。
前述したようにGMTやスピエラはエステル還元剤の特徴として、毛髪表面のキューティクルには損傷が少ないです。
また油分が多い還元剤の為、艶やかに見えるんですね。
上手に施術出来れば仕上がりの艶感や柔らかさは目を見張るものがあります。
ですが日が経つにつれ、油分は抜けていき内部ダメージはどんどん進み表面上は気づきにくいですが中はズタズタに傷んでいきます。
乾いているときはカスカスしていて濡れてる時の状態を触ればハリコシがなく、くたくたになっているはずなので分かりやすいでしょう。
要するに酸性ストレートはアルカリダメージはないですが酸化エラーによる強い内部ダメージと前述した高温のウェットアイロンダメージがあります。
まとめ
ちょっと専門的な言葉が飛び交うので難しかったかもしれませんが、お客様の髪を守るためにはお客様ご自身が美容業界のことを知り美容室やメニューを選ぶ必要があると思います。
ブリーチカラーはブリーチが得意な美容師を選ぶ方が良いように、縮毛矯正は縮毛矯正に詳しい美容師にお願いした方が圧倒的に良い仕上がりになります。
カット、カラー、ストレート、パーマそれぞれ医療と同じように違う美容室に通っても当然良いはずです✨
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